八島ヶ原高層湿原

最終更新日: 2011年3月28日

  • 所在地 八島
  • 所有者 国
  • 指定 昭和35年 6月10日 国・天然記念物

標高1630mの八島ヶ原高層湿原は、昭和35年(1960)6月、湿原西半分の国有林下諏訪側約23haが国の天然記念物に指定された。これより先、昭和14年(1939)に、霧ヶ峰湿原植物群落・八島ヶ原湿原植物群落として諏訪市側が指定されているので、これによって八島ヶ原高層湿原の完全保護体制が出来上がった。高層湿原としては我が国の南限に位置している。

  高層湿原の成立は、まず湖沼から始まる。標高1000m以上の高所や高緯度地方では年間を通して冷涼な気候のため、イネやカヤツリグサ科の植物をはじめ好酸性のミズゴケ類など、多様な植物は枯れても腐敗分解せず泥炭となって堆積(たいせき)していく。植物は上へ上へと生長し、湿原全体が水面よりも高くなり時計皿を伏せたように盛り上がる。これが高層湿原である。

  霧ケ峰の3湿原(八島ヶ原・踊場・車山)中、最も泥炭層の発達しているのは八島ヶ原湿原で厚さ8.1m。堆積速度は上層部で1年に1mm、下層部で0.5mmといわれ、この湿原は約1万年の歴史を経過したものと推定されている。また、この泥炭層中の花粉分析により過去の森林の変遷や当時の気候を知る手がかりともなっている。

  八島ヶ原湿原は、豊富な植物相と共に注目すべきものが多く、学術的にも貴重な湿原となっている。この湿原と、それに隣接している草原を含めて約300種類の植物が確認され3湿原中最多である。湿原周辺の水路や池(八島ヶ池・鬼ヶ泉水・鎌ヶ池)の周囲にはワタスゲ・ホソバオゼヌマスゲ・コバイケイソウ・カキツバタ・サワギキョウ・キリガミネヒオウギアヤメ・アカバナシモツケなど。泥炭層の発達した所にはミズゴケを主体としてキリガミネアサヒラン・ヒメシャクナゲ・ツルコケモモ・モウセンゴケ・キリガミネアキノキリンソウ・キリガミネスゲなど高層湿原特有の植物が数多く生育している。

 近年、湿原内にレンゲツツジやサワラ・ノリウツギ・シツゲンヤマウルシ・シラカバなどの幼木が目立ち、最高に発達した湿原の高層化、乾燥化とあいまって、湿原森林化への先駆となるのか関心が持たれている。

八島ヶ原高層湿原

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