売神祝ノ印

最終更新日: 2011年3月28日

  • 所在地 上久保
  • 所有者 諏訪大社
  • 指定 昭和9年1月30日 国・重要文化財

 売神祝ノ印(めがみほうりのいん)は諏訪大社下社の宝印で、それを納める印筥(いんばこ)と共に昭和9年1月30日に国宝の指定を受けた。社伝によると大同年間(806~810)平城(へいぜい)天皇(806~809)より下賜されたものといわれ、美しい鋳肌をもった銅印で大和古印の系統をひくものと考えられる。かつていったん失われ、秋宮神池の千尋池(ちひろいけ)から発見されたと伝えられている。

 有孔のつまみは押し潰(つぶ)された複雑な形を持ち鶏頭型で、中に5mmの孔(あな)があり高さ3.6cm、印面は縦 5.0cm 横 4.8cmの方形で、印台上面の縁の近くに「上」の一字が刻まれている。

 印文は「売神・祝印」が隷書風の書体で縦書き、一行に二字ずつの陽字で、中央には小点があり、四囲に輪郭が付けられている。風流な趣に富んだ書風である。「売神」は祭神八坂刀売神(やさかとめのかみ)をあらわし、「祝」は大祝(おおほうり)を示していると思われる。複雑なつまみの形や印字の書体から、家印の大きさを定めた『貞観格(じょうかんきゃく)』の規格を越えていることから、平安時代の律令期(りつりょうき)以降の院政期に入ってからの作品と推定される。

 この銅印は神の神意を伝えるものとして神聖視され、頭役の差定書などに押され、押す数も定められていたらしく、一枚に七か所も押した古文書が残されている。

この銅印は笠(かさ)形の蓋(ふた)をもつ筥に納められていて、筥は銅製鍍金(ときん)の方形で、縦横 8.5cm 高さ10.3cm、身は上が印入れ下が肉池に分けられている。側面は銅板を二枚重ね、外側には井桁繋(いげたつな)ぎの透かし彫りが施されている。工芸的にも優れたもので、こちらは鎌倉時代の作と見られている。

売神祝ノ印

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